院長の安藤です。

今回は歯周病、歯周病治療について少し詳しくお伝えさせていただきます。

歯周病（Periodontal disease）は、歯とその周囲の組織を影響する慢性的な炎症性疾患であり、歯槽骨（歯を支える骨）や歯肉（歯の周囲の組織）に影響を及ぼす病気の総称です。歯周病は、成人の歯を失う主な原因の一つであり、歯の健康を維持するためには重要な課題です。ここでは、歯周病の原因、症状、種類、診断、予防、治療について詳しく見ていきます。

【歯周病の原因】

歯周病の主な原因は、口腔内の細菌が歯と歯茎の間に形成する「歯垢（プラーク）」です。歯垢は、糖分やデンプンなどの食べかすが口内に残ることで発生します。これらの食べかすが細菌によって分解され、酸が生成されることで歯垢が形成されます。歯垢は歯の表面に付着し、定期的なブラッシングやフロッシング（間食）で除去することが重要です。

歯垢が定着してしまうと、歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の間の空間に細菌が入り込み、炎症が生じます。これが歯周病の初期段階である歯肉炎（Gingivitis）です。歯肉炎は歯肉の腫れ、赤み、出血などを引き起こしますが、この段階ではまだ歯槽骨に影響はありません。

しかし、歯周病は進行すると、歯周ポケット内の細菌が進行し、歯槽骨に対して破壊的な影響を及ぼします。これが進行性歯周炎（Periodontitis）と呼ばれる状態で、歯周組織の破壊が進行し、歯が失われる可能性が高まります。

【歯周病の症状】

歯周病の初期症状として、歯茎の腫れ、赤み、出血があります。ブラッシングやフロッシング時に歯茎から血が出る場合は歯肉炎の兆候です。歯周病が進行している場合、以下の症状が現れることがあります。

• 歯肉の退縮：歯茎が後退して、歯の根が露出することがあります。
• 歯の動揺：進行した歯周病では歯が動くことがあります。
• 歯周ポケット：歯と歯肉の間に深い溝ができることがあり、細菌の蓄積が進行します。
• 歯の長さの変化：歯槽骨の破壊により、歯が長く見えることがあります。

【歯周病の種類】

歯周病にはいくつかの種類があります。

• 歯肉炎（Gingivitis）：初期の歯周病段階で、歯肉が腫れて炎症を起こす状態です。歯槽骨には影響を及ぼしません。
• 慢性歯周炎（Chronic Periodontitis）：最も一般的な歯周病で、歯周組織の慢性的な炎症と歯槽骨の破壊を特徴とします。
• 急性壊死性歯周炎（Aggressive Periodontitis）：比較的若い患者に見られる急速な歯周破壊が特徴です。
• 重度の歯周炎：全身の健康にも影響を及ぼす可能性がある重篤な歯周病です。

【歯周病の診断】

歯周病の診断は、歯科医師または歯周病専門家によって行われます。診断には以下のような方法が用いられます。

• 歯周ポケットの測定：歯茎と歯の間のポケットの深さを測定します。ポケットが深いほど、歯周病の進行度が高い可能性があります。
• レントゲン検査：歯槽骨の状態を評価するためにX線を撮影します。
• 歯周組織の検査：歯周組織の状態を確認するために、歯肉の採取や検査が行われることがあります。

【歯周病の予防】

歯周病を予防するためには、以下のような方法が重要です。

• 正しい口腔衛生：毎日のブラッシングとフロスを行い、歯垢を除去します。
• 健康的な食生活：バランスの取れた食事を心がけ、砂糖や甘い飲料の摂取を制限します。
• 定期的な歯科検診：歯科医師の指導のもと、定期的な歯科検診を受けます。
• タバコや アルコールの適量：喫煙や アルコールの過剰摂取は歯周病のリスクを高めるため、避けることが大切です。

【歯周病の治療】

歯周病の治療は、歯周病の進行度や患者の状態に応じて異なります。治療の主な目標は、歯周炎をコントロールし、歯周組織の健康を回復させることです。

• スケーリングとデタリング：歯科医師によって歯垢や歯石を除去するプロフェッショナルクリーニングが行われます。
• 根面平滑化術（Root Planing）：歯の根の表面を滑らかに整えることで、細菌の付着を減らします。
• 歯周手術：重度の歯周病の場合、歯周手術が必要な場合があります。

【まとめ】

歯周病は、歯とその周囲の組織を影響する慢性的な炎症性疾患であり、歯槽骨や歯肉に影響を及ぼす病気です。歯周病の原因は主に歯垢であり、歯茎の腫れ、赤み、出血が初期の症状として現れます。適切な予防策と早期の治療が重要であり、定期的な歯科検診と正しい口腔衛生の維持が必要です。歯周病の進行を防ぐことで、健康な口腔状態を維持し、歯を守ることができます。